< 社会の一員として生きて行くために

盲人会(視覚障害者協会)の過去と現在

以前の盲人会は、鍼灸マッサージの業権擁護のために運動してきました。マッカーサー旋風で鍼灸マッサージは禁止されるという危惧があったようですが、先輩諸氏が守ってきました。

ところが、最近の盲人会運動はといえば「年金を上げろ」とか「携帯電話料金を半額にしろ」というような「くれくれ運動」ばかりです。 日本盲人会連合の下部組織である名古屋視覚障害者協会には、鍼灸マッサージ問題を扱う三療協議会や音楽家協議会がありません。 この不況の世の中でも、職業問題についての深刻さは高年齢になっても座を譲ろうとしない理事たちにはないのでしょう。

「メリットは入会してから作るもの。理事になって若い人に興味を持ってもらえるようなイベントをどんどん企画してよ」と請われ、理事をお受けしました。 しかし、音楽会を企画してたくさん人が集まっても「こんな大きなことは五年に一回くらいの節目の年だけに」と抑えつけられてしまったり、カラオケや日帰り旅行のような親睦にしか人が集まらないような会では、親しい友達を誘おうという気になれませんでした。

役員会が鍼灸マッサージ師会の健康保険の取り扱い講習会と重なっているということは、この会の役員たちは仕事のことはどうでもいいんだなとも思いました。

こんな中にいるよりは、点訳ボランティア活動に関わって、視覚障害者のニーズを伝える活動をしたほうがどれだけ視覚障害者の仲間の役に立つか・・・・・と思い、私は理事だけでなく名視協そのものから脱会してしまいました。

組織の重要性

しかし、私は組織そのものを否定するものではありません。 役所はプライバシーの保護ということから、どの地域に障害者が住んでいるかということは公示しません。 災害に見舞われたときなどは、組織に属していたほうが、支援を受けやすいと思いますので、地元の身障者協会には属しています。 上に立とうと思う人が多いのか、視覚障害者協会に入っているだけでは身体障害者協会に入っていることにはならない、その逆もないというのは不思議です。

鍼灸の健康保険治療は、患者さんが現金で治療を受け、領収書を会社や役所に提出すれば後で返金される場合もあります。しかし、労災保険のように、鍼灸マッサージ師会との団体協定で、会に属していない鍼灸マッサージ師は取り扱えないものもあります。 患者さんは高い保険料を払っているのですから、使えて当たり前。そういうこともあって、私は愛知県鍼灸マッサージ師会に入っています。

自分の職業に誇りを持って

視覚障害者の同業者が集まると「儲からないなぁ、何かいい話ないか」「お互い大変だなぁ」という所で話が止まってしまって、ビジョンが見えてきません。

ところが、晴眼業者と飲んだときには「医者雇って、鍼灸の同意書書いてもらうか」なんて話が出たことも。

視覚障害者で「あん摩でもやるか、あん摩しかないな」という気持ちで開業している人と、不況のために脱サラして必死に勉強して免許を取った人、代々続いていた家業だからと頑張ってらっしゃる晴眼者の方々とは全く意気込みが違います。

医学は日進月歩ですが、点字で本や雑誌が出版されるのは早くても三カ月遅れです。 ならば、東京や大阪くらいなら出かけて講習会を受講しなければ・・・・・と思うのは私だけでしょうか。

かつては視覚障害者の専業だった鍼灸マッサージを晴眼者にとられてしまうと嘆くのではなく、共存できるように、いや負けないように、視覚障害者ももっともっと勉強すべきだと思います。


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