税金の減免

「あんたたちは税金払わなくてもいいんでしょ。丸儲けだね」と言われることがありますが、全く非課税というわけではありません。専門家ではありませんが、誤解を避けるために、その他の公的優遇施策も含めて紹介します。

所得税の障害者控除

心身障害者が所得税の納税義務者本人または納税義務者の配偶者、扶養家族の場合、障害の程度によって特別障害者控除または障害者控除が受けられます。

市民税、県民税の障害者控除

心身障害者が納税義務者本人または納税義務者の配偶者、扶養家族の場合、障害の程度によって特別障害者控除または障害者控除が受けられます。

相続税の障害者控除

障害者が相続により財産を取得する場合、障害の程度によって特別障害者控除または障害者控除が受けられます。

事業税の減免

両眼の視力の和が0.06以下の視覚障害者が、鍼、灸、マッサージ、指圧、その他医療に類する事業を行う場合、事業税の減免を受けられます。

自動車税、自動車取得税の減免

身体障害者手帳または療育手帳所持者(等級に制限があります)が、自分で運転する自動車または生計同一の家族が運転する自動車(名義は障害者本人のものに限る)にかかる自動車取得税、自動車税の減免が受けられます。

以前は物品税も非課税でしたので、消費税が実施されてから私たちには増税になりました。

贈与税の減免

1・2級の身体障害者手帳または療育手帳Aを持っている方を受託者として信託契約に基づく金銭などの財産の信託が行われた場合には、贈与税の減免が受けられます。

年金・手当

公的年金制度に加入している期間中に被った傷病により障害者になった場合に、年金・手当が支給されます。また、重度の障害のために必要となる精神的、物質的な負担を軽減するために支給されます。

私が鍼灸院に就職した翌年から、障害者は国民年金をかけられなくなりました。年をとったとき、以前は自分でかけた年金と障害基礎年金を選択して受けることができましたが、それが不可能になりました。政府の財政も厳しくなっていますので、将来「福祉切り捨て」なんてことにならなければいいのですが・・・・・。

年金・手当は単なる所得補償ではなく、障害を補うための機器の購入・修理のためのものと私は考えます。

例えば、白杖は自転車と接触しただけで曲がってしまい、使い物にならなくなります。そのため予備が必要ですが、下記の補装具として給付されるのは一本だけ、しかも耐用年数は2年なので、買い換えたり予備の購入は全額実費になります。

補装具・日常生活用具の給付

白杖、点字器、 盲人用ポータプルレコーダー(視覚障害者の生活文化を高めて行くための読み補助器として開発された、デージープレイヤー、スピーチオ、半減速を兼ね備えたカセットテープレコーダー、その他点字器等)、触知式腕時計や秤、点字タイプライター、音声体温計、拡大読書器などは、一般市場に出回りにくく高額です。このような機器を購入するとき、所得に応じて一部負担金を支払うだけで入手できる制度があります。

しかし、最近は視覚障害者用に開発されたものでなくても、安価に音声時計やテープレコーダーなどが出回るようになりましたので、物によっては制度を利用しないほうが安く買えるものもあります。

点字図書も、一冊の単行本が数万円になったり、辞書は数十万円になるものもあり、原本価格で購入できる制度があります。新聞雑誌類はダメとか、年間6タイトルまたは24冊までという制限があったり、この制度が始まってから点字本の価格を上げる出版所が増えたりと、たくさん本を買う視覚障害者にとっては好ましくない状況になりつつありますが。視覚障害者個人をというより、点字出版所の救済策に思えるのは私だけでしょうか。

各種運賃の割引

電車やバスに乗車するとき、障害の程度によって本人・介護者ともに五割引になります。ただし、障害者単独の場合は100キロを超えないと割引は適用されません。それぞれ五割引になるというより、介護者の分も含めて一人分で乗車できると考えるべきでしょう。 また、特急料金や指定席券は割引になりません。新幹線も乗車券のみ五割引です。

飛行機は25%引になりますが、早くから予定が立っている場合は早割や先割を利用したほうが安いようです。 早割で飛行機に乗ろうとして、「障害者とは知らなかった」と席を換えられたことがありました。一便に乗れる障害者の数を制限していたり、障害者は通路側の席には乗せないという航空会社もあるようです。そのときは松葉杖の人が通路側だったのですが、「どっちが大変なのかなぁ」と不信感を覚えました。

有料道路通行料金の割引

高速道路の通行料金が半額になる制度です。ただし、登録した車でないとNGです。 視覚障害者の場合、自分で運転できないため、だれに乗せてもらっても割引いてくれないと不自由なのですが。

また、車検や修理中など、代車を利用しているときには割引きが適用されないのは、他の障害者にも不自由です。

公共施設への入場料割引

美術館や博物館など、触れられないものがある分だけ割引いてくれる施設もあります。東京ディズニーランドのように「割引かなくても十分障害者にも楽しめる空間を提供している」と自信を持っている施設もあります。

ルーブル彫刻美術館に行ったときは、入口で「思う存分触ってもらってもいいし、記念写真を撮ってもらってもいいですよ」と言われて感激しました。

点字郵便物は3キロまで無料

点字の本は一般書店では買えないため、図書館から借りることが多くなります。 また、とても嵩張るため、もし郵送料が無料でなかったら大変です。

郵政事業が完全民営化の方向に進んでいますが、以前厚生大臣まで勤められた小泉首相がなぜこんなことを率先してなさったのかとても信じられません。 点字郵便物が有料になれば、唯一の点字新聞である「点字毎日」も私たちは購読できなくなるかもしれませんし、広報紙も点字のものは届かなくなるのではと危惧しています。

その他

自治体独自でタクシー料金や医療費の一部負担金を助成したり、地下鉄やバスを無料にしている所もあります。 いずれも、障害者の社会参加を促すための施策と、いつも感謝しています。


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