公的なガイドヘルパーは、通勤・営業活動・通学などを除き、公的機関や医療機関に出向く場合や、日常生活上必要な外出をする際に、介護者がいないと外出が困難な場合に付き添います。外出する機会が少ない障害者は、当然のことながら社会と接する機会も少なくなります。ガイドヘルプを利用することにより、社会に出会えるのです。そして、一般的な人間関係・社会参加への第一歩を踏み出すことができます。 ガイドヘルプを受けているときの交通費は、ヘルパーの分も利用者が負担しなければならない、宿泊を伴う外出には利用できない、ガイドヘルパー自身が車を運転してはいけない、等、まだまだ問題点は数多く残っています。 しかし、事業者を選択して利用できるようになりましたので、全国展開している民間の事業者やNPO同士の協力体制が構築されることで、全国どこへでも安心して出かけられるようになることを期待しています。 通勤に利用することができれば、就職できる障害者がかなりいるでしょうし、そのことにより、その人たちは消費者となるし納税者になるのですから街の活性化につながると思うのですが、皆さんはどう思われますか。 措置から支援費、そして障害者自立支援法へ障害者自立支援法は、障害者(児)が自立した生活を営むことができるよう、必要な支援を行うことを目的に施行されました。この法律は、障害の種類(身体障害・知的障害・精神障害)に関わらず共通の制度でサービスを提供するもので、制度の安定的な運用を目指して「サービス利用者を含めたみんなで支えあう仕組」を取り入れています。要は財源を確保するため、利用者への往益負担を求めるための制度ということが言えるでしょう。 措置制度としてガイドヘルパー派遣事業が行われていたときは、官公庁・医療機関・社会福祉施設・金融機関・冠婚葬祭・自治体や学校行事などへの外出には所得に関わらず費用は発生しませんでした。 しかし、支援費制度が始まり、上記の利用にも時間数に応じて一律負担金を支払わなければならなくなりました。 そして、障害者自立支援法が成立し、一律一割の応益負担を強いられることになりました。 さらに、障害者自立支援法では、ガイドヘルプが二種類に大別されることになりました。一つは介護給付費の「行動援護」、もう一つは地域生活支援事業の「移動支援」です。そして、視覚障害者のガイドヘルプは「移動支援」に該当します。
障害者自立支援法では、障害が重い人へのサービスから予算を割り当てるため、介護が必要な人に対するサービスは国の義務的経費、介助でいい人は裁量的経費である市町村単独事業として位置づけられるようです。 せっかく支援費制度で一定レベルのサービスが提供されるようになってきたところなのに、財政がひっ迫する市町村では、視覚障害者のガイドヘルプ事業が中止されたり、社会的資源の活用という名目で、ボランティアに依存する所が出てくるかもしれません。 ※24時間の常時介護を受けながらも自宅で生活なさっていた方が、利用料の一割負担ができないために施設に戻らざるを得なくなるという話も耳にしています。 利用料を負担することにより生活保護の適用対象となる場合については、少なくとも2万5千円が手元に残るよう実費負担を軽減する「補足給付」が行われます。しかし、この制度を考えたお役人さんたち、月2万5千円で生活なさったことがあるのでしょうか? 補装具として支給されていた点字器や白杖が、地域生活支援事業の日常生活用具品目に変えられてしまうという話も聞いています。読み書きや歩行は日常生活になくてはならないもののはずなのに、給付されない市町村が出てくるとしたら・・・・・ 障害者自立支援法で本当に自立ができるのか、とても心配です。 公的ガイドヘルパーの皆さんにお願い視覚障害者の手引きは安全性(安心感)、能率性、見た目の自然さ、視覚障害者・手引き者双方にとっての歩きやすさ、の四つが求められます。 馴れた所になら独りで行くことができる視覚障害者にとって、ガイドヘルパーさんと外出することは、新幹線のグリーン車、飛行機のファーストクラスに乗っているように快適です。また、短時間に多くの用事を済ますことができたり、時間の節約になります。ガイドヘルパーの活動を自分だけの思いこみで「よかれ」と思って行うと、利用者に負担になったり、不安を感じさせたりすることもあるかもしれません。 介護と介助は違います病人や高齢者の介護と、健康な障害者の介助は違います。障害者本人に何ができて何ができないか、どんな手助けが必要かをよく話し合い、把握して活動していただけるとうれしいです。 失明して間もない視覚障害者の中には、手引きされることに慣れていない人もいます。どうすれば安全か、必要に応じて話し合い、知らない場合は教えてあげることもリハビリの一貫として必要だと思います。 移動介助を始める前に、その人が慣れている方法を聞き取り、もしその方法に問題があれば話し合い、二人にとって安全で効率的な方法でガイドをしましょう。 経路について経路については視覚障害者が下調べをするべきだとは思いますが、単独歩行の経験がない人には説明が苦手な人もいます。初めての目的地の場合は、ヘルパーさんにも下調べをしていただけると安心です。 ガイドヘルプ中の交通費は、ヘルパーの分も利用者が負担しますが、馴れた道のほうが安心という視覚障害者もいれば、新しい道を覚えたい、お金がかかっても時間を節約したいというニーズを持っている人もいます。待ち合わせ場所、経路については予めよく話し合って決めましょう。 待ち合わせについて視覚障害者は看板や大時計などは見えませんので、改札口を出た所、ポストの前等、体感できるものが目標になるということも頭に入れておいていただけるとうれしいです。
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