ひでやんは、大樹会の前身である六つ星会点字出版部からの読者で、ハローも創刊号から読んでくれています。
時々大樹会の例会に、将棋盤を抱えて遊びに来てくれますが、大樹会の会員で彼に勝てた者は一人もいません。ひでやんは盲聾二重障害者なので、私たちは彼の手のひらに文字を書いたり、指点字を使ってお話します。将棋盤に触れなくても、手のひらに棋譜を書くだけで盤面をすべて覚えているのですから驚いてしまいます。
今回は、そんなスーパー盲聾者のひでやんに、視覚障害しか持っていない平瀬から率直な質問をぶつけてみたいと思います。
目は小学３年生になったばかりの頃に角膜炎で殆ど見えなくなりましたが、 目医者に通ってだいぶ見える（視力０．５くらい）ようになりました。
耳は翌年の正月、 冬休みが終わって学校へ行ったら先生の話が全然聞こえなくて、それで耳が聞こえなくな っているのに気がつきました。色々な病院で診てもらいましたが“聴神経麻痺”だそうで 治りませんでした。
現在は“白内障”で視力が低下して光や人影がぼんやり見える程度です。
白は清純、赤はどぎつい、真っ赤な口紅をしている女性は水商売の女に見え ます。紫は地味で暗い、黒は格調高く感じます。すんだ空色が好きです。
現在、日中は信号が見えません。夜は光るもの（車のライト、ネオン、信号 など）は見えます。信号の赤や青も分かります。
地下鉄黒川駅から総合社会福祉会館まで 一人で行くのが難しくなったので、大樹会の皆さんにはご無沙汰しています。
電車がホームに入ってくるのはぼんやり見えます。入り口が見えにくくなっ たので白杖でさぐりながら乗ります。車両と車両の連結部へ向かって行き、乗客に止めら れたことが何回かあります。それで名鉄は頼まなくても駅員が誘導して電車に乗せてくれ ることが多くなりました。ありがたいことです。
降りる駅は停まる駅を数えて降りていま す。だから初めてのところは一人でいけません。 バスはどれがどこ行きか分からないし、降りる停留所も分からないので一人で乗れませ ん。でも必要に迫られたら周りの人に乗せてもらったり、運転手に「○○で降ろして下さ い」と頼んで行く手もあります。
手のひらにひらがなを書いてもらって話しています。
新聞記事や将棋世界の記事など、色々点訳して送ってもらっています。妻に プロ野球や大相撲など気になるスポーツの勝敗を教えてもらいます。昨年からイン ターネットを始めてインターネットから自分で情報を得るようにもなりました。
パソコンを使うようになって２０年以上になります。最初は１行８０文字と いう細かい文字は見にくかったので１行４０文字にしましたが、それで見にくくなったら虫眼鏡を 使うようになり、それで見にくくなったら拡大率の高いルーペを使うようになり、それで 見にくくなったら画面拡大ソフトを使うようになり、現在はピンディスプレイと言って画 面の文字を点字で表示してくれる機械を使っています。
ホームページはＨＴＭＬタグというコマンドを勉強して、それを支援してくれるHTML Writerというソフトを使って作ります。ホームページのアドレスは http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Kikyo/3980/です。見にきて下さいね。
パソコンと一緒で視力の低下とともに指し方が変わりました。
最初は駒の文字が見えたし、盤のマス目も見えたので普通に指していました。それが駒の文字が見えにくくなり、マス目も見にくくなり盲人用の将棋盤と駒を使うようになりました。盲人用将棋盤は駒がずれないように線が盛り上げてあります。駒は後ろに点字が打ってあり触って見分けます。六つ星会出版部の点訳ボランティアの堀場さんと良く指しましたが、あの頃は白い盲人用の将棋盤を使えば駒の位置が分かりました。駒の位置が変わったことで相手が指したことも分かりました。
現在は駒の位置が分からないので駒に触って指しています。
盲ろうになってから点字と切っても切れない関係になりました。パソコンで すみ字を書いても読むのは点字の形です。中失者のため点字を読むのが遅いです。もっと 早く読めたら指点字も福島さんのように早く読めるのに、と残念に思います。
子供の頃は障害について深く考えませんでしたが、成人してからフッと寂し くなることがありました。現在妻や子供がいてもおしゃべりに夢中になることがないから 寂しくなることがありますね。
通訳・介助の目と手を貸してください。
暇がありましたら点字の手紙やメールを下さい。
ひでやんへのメールはこちら
ありがとうございました。