2019年のゴールデンウィーク、家族でフランスに旅行しました。せっかくフランスに行くのだからと、ルイ・ブライユ博物館をスケジュールに入れてもらいました。
生家を保存した建物に入る前に、横にある新しい事務所に案内されました。 まず、日本で生まれた『CD/DVDラベル用円形点字器「てんじのわ」』をお土産としてお渡ししました。 館長のステファンさんは「こんなの見たことない!所蔵品として登録させていただきます」と大喜びのご様子でした。
ここではブライユの生家の模型を触ることができました。 外観や部屋の配置も分かりやすく作られていて、構造を理解できました。
次に案内されたのは、リビングのような部屋でした。暖炉、水場、ピザ窯、ベッドがありました。 8畳くらいの小さな部屋で、両親と、末っ子のブライユを含む4人の兄弟が暮らしていたそうです。
古いピアノに触っていたら、「弾いてもいいよ」と言われたので、1月に逝去したフランスの作曲家、ジャズピアニストのミシェル・ルグランの「What Are You Doing The Rest Of Your Life〜これからの人生」をブライユさんに聴いていただきました。
馬具職人だった父親の工房には、所狭しと皮を加工する道具がありました。ブライユはこの部屋で遊んでいて、革を裁断する錐で左目を突いて失明したのです。実際に刃先の鋭い道具を触って、とても痛かっただろうなあと思います。
現在は資料室になっている2階の部屋が、かつてブライユの部屋だったそうです。暖炉もなく、特に点字を読むのはつらかったと思います。 ガラス棚の中に、珍しい点字器やタイプライター、ブライユ直筆の、ふちがボロボロの点字の資料が収められていました。
この部屋で最初に触ったのは、仲村製のような点字盤で、縦10点、横はマスとマスとの間が均等のものでした。 この点字盤で、ステファンさんはアルファベットを点図として裏面から書いてくださいました。
また、点がついた活字を組み合わせて、アルファベットの点図を作る活版印刷機もありました。 当時も、手打ちだけでなく同じ資料を複数作ろうという試みがあったようです。
当初は1時間と言われていた説明が2時間近くになり、案内してくださったステファンさんの熱い思いに感激して博物館を後にしました。
パリに戻ると街中に音響信号機を見つけました。 押しボタン式で、下から上に押し上げると秒読みが始まり、青になると音楽が流れます。 歩行時間も延長されます。
ベルサイユ宮殿が三時間待ちだったため、ガイドさんの機転で、凱旋門に上りました。
ルーブル美術館には、触れるレプリカの部屋があり、フランス語の点字のプレートもありました。この部屋だけ静かで、ゆっくり鑑賞できました。
エッフェル塔の入場券売場で、日本の障害者手帳の提示を求められました。そして、そのままゲートに行くように言われました。
フランスとの往復に使ったのはエールフランス機。点字の「安全のしおり」は、最初がフランス語、続いてフルスペルの英語で書かれていました。発泡インクで作られていて、かなり摩耗していました。