難しい文法は抜きに、ちょっと乱暴に点字の書き方を説明します。

「それは違うぞ!」というようなことがあればお知らせ下さい。

タイトルの書き方

タイトルは、5マス目、7マス目、9マス目といった奇数マスから書き始めます。

大見出しになればなるほど、字下げして書き始めます。

大見出しが9マス目から始まっていれば、中見出しは7マス目、小見出しは5マス目から書くことになります。

タイトルを一行に書ききれないときは、2マス下げて続きを書きます。例えば、5マス目から書き始めたときは続きを7マス目から書きます。

文章の書き方

文章は、3マス目から書き始め、一行に入らないときは1マス目から続きを書きます。段落が変わったときは、また3マス目から書きます。

どうして2マス単位で空けるかというと、1マスでは触読していて、タイトルや段落を見つけにくいからです。

「。」の後は2マス空け、「、」や「・」の後は1マス空けて書き続けます。

「?」や「!」の後は、感情の動きがあるときは1マス空け、文章の終わりを表すときは2マス空けます。

。 ? ! などの後に 」 ) などの記号がくるときはマス空けしないで続けて書きます。

文節分かち書き

電報のように、カタカナばかりの文章は読みにくいのと同じように、点字も文字が羅列されていては読みにくいので、文節ごとにマス空けして書きます。

文の中に「ね」や「さ」を入れてみて、意味が変わらなければ、そこで区切る、というのを目安にして下さい。

自立語の前は区切り、付属語の前は続ける

「自立語」は単独で意味をもつ言葉、付属語は自立語にくっついて意味をつけくわえたりしてサポートする言葉です。

「桜はとても美しい花です。」の場合
、 「桜」「とても」「美しい」「花」が自立語で、
「は」「です」が付属語です。

点字で書く場合は
さくらは とても うつくしい はなです。
となります。

漢字は三文字くらいまでは続けて書き、四文字以上続くときは、切りがいい所で区切るのを目安にすればいいでしょう。

なごやべんにわ うわまち ことばと したまち ことばがあります。

ただし「株式会社」のように「がいしゃ」と濁るときは続けて書きます。

「じ・ず・じゃ・じゅ・じょ」と「ぢ・づ・ぢゃ・ぢゅ・ぢょ」の使い分け

原則として、「じしん・はじ・ずつー・ちず・じゃぐち・せかいじゅー・ねんじゅー・すこしずつ・きずな、うなずく」のように、書くものが多いのですが、ち・つ・ちゃ・ちゅちょで始まる語が前の語と結びついて濁る場合は、そこぢから・りろんづける・ちからづよい・みかづき・ゆのみぢゃわんのように書きます。また、ち・つが繰り返されて濁る場合も、ちぢむ・つづく・つづみ・つづら、つづるのように書きます。

前に続けて書くもの

です ます のに ので から

でした。だった。よーな、よーに、よーだ

ばかり ・・・にわ ・・・みたい

前の語とマス空けが必要なもの

ため とき こと いる もの

「する、し、して」される等の切れ続き

「する、して」の前に「を」を入れられるときは空け、入れられないときは続けます。

例えば、「恋する」「勉強する」は空けますが、「愛をする」とは言わないので「愛する」は続けることになります。

「どーして」については、「なぜ?」の意味があるときは続け、「どのように して」という意味を持つ場合は空けます。

「達する、接する、欲する」のように、漢字一字の後に「する」が続く場合や、「命ずる、重んずる、先んずる」のように「ずる」と濁る場合は続けます。

「ああ して、こー して、そー して」など、こそあど言葉の後の「して、する」は空けます。

意味や読み方によって空けたり続けたりするもの

「三年 前」のように、時間が関係するときは空けて書きます。

「駅前」のように、場所を表すときは、前の語に続けて書きます。

「紀元前」のように、「ぜん」と発音するときは前に続けます。

「末」は「まつ」と読ませるときは続け「すえ」と読ませるときは空けます。

「後」は「ご」と読ませるときは続け「あと」「のち」と読ませるときは空けます。

「等」は「など」は続け「とー」は空けます。

「他」は「た」と読ませるときは続け「ほか」と読ませるときは空けます。

「なか よく」は空けますが、「なかよし」は続けます。

「亡くなる」は「なくなる」と続けて書きます。

「食欲が なくなる」「元気が なくなる」「帽子が なくなる」のように「消滅する」という意味を持つときは続けて書きます。

その他は「なく なる」と空けて書くと考えていいと思います。

あのよ、このよという場合、続いていると「あの世、この世」で、マス空けすると 「あの夜、この夜」と読めます。漢字を使わずにカナだけで点字を表す妙味ですね!

敬称の書き方

「君」「さん」は、正式な名前につけるときは空けますが、愛称の意味や職業名につけるときは続けます。

繰り返し言葉

「ますます、よくよく」 のように二拍のものは続けますが「ひとつ ひとつ、しら ず しらず」のように三拍のものは空けます。

数字を含む語の書き方

数字は、0が三つまでは続けて書いてあっても違和感がありませんが、四つ以上になると触読しながら数えるのは大変です。

そこで、文章中では、「1万 2500」のように、およその数字はかなを添えて書き表します。

決算書のように数字を明確に表さないといけないものについては、位取り点(3の点)を入れて書きます。

数字の後に1245の点で始まるかなが続くときは、つなぎ符(36の点)を入れます。「10円」を「106ん」と読み誤るからです。

数量や順序の意味が薄れた慣用語は、意味の理解を妨げない限り仮名を用いて書きます。例えば、「一流」という語には「二流・三流」もありますから数字を用い、「一筆啓上」「一般的」などは「二筆」や「二般」がないので「いっぴつ」「いっぱん」のように仮名書きします。

「コーヒーを 一杯 飲む」は数字で「1ぱい」、「腹 いっぱい」は仮名です。

アルファベットの書き方

  アルファベットの字形を表すときと、略称を表すものには外字符を用い、英文や英単語は外国語引用符に入れます。

アルファベットの後に助詞がくるときはマス空けし、その他はつなぎ符(36の点)を入れて続けて書きます。外国後引用符の後の扱いも同様です。

括弧の使い方

墨字では様々なカッコが使われていますが、触読で区別するには大変です。そのため、点字では下記のカッコを意味で区別して用います。

 

丸カッコは、追記される説明部分などを挟むのに用い、( ) に対応します。

第一カギは、会話部分を挟んだり指示する部分を挟んで示すのに用い、 「 」 に対応します。

第二カギは、強調される部分や第一カギとは異なる指示部分を示すのに用います。JIS記号には特に対応せず、意味上で使い分けます。

二重ふたえカギは、第一カギの中の指示する部分や書名などを挟んで示すのに用い、『 』に対応します。

点字特有の括弧として、二重カッコがあり、丸カッコの中にさらに説明が必要なときや、他のカッコと区別するためにカッコが必要なときに用います。

段落挿入符は、本文の要約、前文、宣伝文句、お芝居のト書きなどに使います。

点訳者挿入符の中には、漢字の説明、写真や挿絵の説明を書きます。

段落挿入符も点訳者挿入符も 開き == 閉 じ ==を用いますが、段落挿入符開きと文章の始まり、文章の終わりと段落挿入符閉じの間は1マス空けて区別します。

( )の中が前の語を説明しているときは前に続けて書き、後の語を修飾しているときは前後を空けて書きます。

) 」 などの後に「に で でわ にわ」などの助詞がくるときは続けて書きますが、助詞のために前の分節をたくさん引っぱってきて行末が空いてしまうのは触読上あまり気持ちいいものではありません。そのため、助詞だけを次の行に移して差し支えありません。


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